組織図は「箱と線を並べるだけ」と思われがちですが、実は どの型を選ぶかで会社の意思決定の仕組みそのものが見えてしまう 図解です。結論から言えば、組織図づくりの成否は「描き方」より「型の選択」で決まります。 階層型・マトリクス型・プロジェクト型という 3 つの基本型は、それぞれ指揮命令系統の前提が違うため、自社の実態に合わない型を選ぶと「誰が誰に報告するのか」が伝わらない 1 枚になってしまうのです。本記事では、3 大タイプの違いと使い分けを早見表で整理し、PowerPoint の SmartArt できれいに仕上げる手順、そして提案書・社内資料での見せ方までを現役コンサル視点で解説します。
組織図 3 大タイプ早見表
まず全体像です。「指揮命令系統がいくつあるか」を軸に逆引きで選んでください。
| 型 | 指揮命令系統 | 表現したいこと | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 階層型(ピラミッド型) | 1 本(上→下) | 権限と責任の縦の連鎖 | 一般的な会社組織・部門図 |
| マトリクス型 | 2 本(縦+横) | 機能と事業の二重所属 | 複数事業・複数地域を持つ企業 |
| プロジェクト型 | 1 本(PM 集中) | 期間限定のチーム編成 | PJ 推進・タスクフォース |
3 つの違いを一言でいえば、階層型は「平常時の会社の骨格」、マトリクス型は「縦と横の両方に責任を持たせる仕組み」、プロジェクト型は「目的達成後に解散する一時的なチーム」 です。以下、1 つずつ作り方とともに見ていきます。
1. 階層型(ピラミッド型)
最も典型的な組織図がこの階層型です。一人(または一部署)を頂点に置き、下へ行くほど段階的に権限が分かれていく形を取ります。指揮命令系統が 1 本に統一されているため、「誰が誰の管理下にあるのか」「誰に責任があるのか」が明確になる のが最大の強みとされています。
[社長]
┌───┼───┐
[営業部][製造部][管理部]
┌─┴─┐ ┌─┴─┐
[1課][2課] [経理][総務]
適用シーン
- 一般的な会社全体の組織図、部門単位の体制図
- 「指揮命令系統がシンプルである」ことを示したいとき
PPT での作り方
- 同じ階層の箱は 高さ・幅・色を完全に揃える。位置が 1px ズレるだけで「整っていない」印象になる
- 同階層に並べる順序は、設立順・五十音順など 規則性を 1 つに統一 して抜け漏れを防ぐ
2. マトリクス型
一人の社員が 直属の上司と、もう一つの軸(事業部や地域、プロジェクト)の責任者の両方から指示を受ける 構造です。指揮命令系統が「上から下へ(縦)」と「横へ」の 2 本になるのが特徴で、機能(職能)と事業を掛け合わせて人材を有効活用したい企業で採用されます。
事業A 事業B 事業C
営業部 │ ● │ ● │ ● │
製造部 │ ● │ ● │ ● │
開発部 │ ● │ ● │ ● │
(●=両方の上司を持つメンバー)
適用シーン
- 複数の事業・製品ラインや、複数地域を持つ企業
- 専門人材を事業横断で柔軟に配置したいとき
PPT での作り方
- 表形式(行=機能部門、列=事業/地域)をベースにし、交差セルにメンバーや役割を置く
- 縦の指示線と横の指示線を 色で塗り分ける と、「二重の指揮命令系統」が一目で伝わる
3. プロジェクト型
特定の目標達成のために、組織内外から 一時的に人を集めてチームを編成 する型です。プロジェクトマネージャー(PM)に権限が集中し、メンバーは元の部署を離れて PM の指揮下に入ります。
[プロジェクトオーナー]
│
[PM]
┌───┼───┐
[設計班][開発班][検証班]
マトリクス型との決定的な違い
プロジェクト型とマトリクス型は混同されがちですが、両者の最大の違いは「終わったあとに解散するか」 です。マトリクス型は複数の所属を持った状態を恒常的に継続するのに対し、プロジェクト型は目的を達成すれば解散し、メンバーは元の組織へ戻ります。
適用シーン
- 新製品開発・システム導入・タスクフォースなど期間限定の体制
- 「この PJ の推進体制」を提案書・キックオフ資料で示すとき
PPT での作り方
- PM を頂点に置き、班・チームをぶら下げる点は階層型と同じだが、「期間」を必ず添える(例:2026/4〜2026/9)
- 元の部署からの「兼務/専任」を箱の色や注記で区別すると、稼働の実態が伝わる
どの型を選ぶか — 3 つの問い
3 タイプを覚えても、選べなければ意味がありません。作図の前に次の 3 問を投げかけてください。
- 指揮命令系統は 1 本か? → Yes なら階層型
- 機能と事業の両方に責任を持たせたいか? → Yes ならマトリクス型
- 目的達成後に解散する一時チームか? → Yes ならプロジェクト型
PowerPoint できれいに作る — SmartArt の使い方
3 つの型のうち、階層型とプロジェクト型は PowerPoint の SmartArt で最短に作れます。手順はシンプルです。
- 「挿入」タブ →「SmartArt」をクリック
- ダイアログ左の「階層構造」→「組織図」を選んで「OK」
- 図形に直接、または左の「テキストウィンドウ」(<マークで開閉)から組織名を入力
- 「SmartArt のデザイン」タブ →「色の変更」で全体の配色を整える
マトリクス型は SmartArt の定型に無いため、表(テーブル)または図形の格子 で組むのが実務的です。
提案書・社内資料での見せ方
組織図を資料に載せるときは、目的に応じて情報量を絞ります。
- 役員向け提案書——部門レベルまで(個人名は出さない)。「意思決定の速さ」を訴えるなら階層を浅く見せる
- キックオフ資料——プロジェクト型で PM とチームを明示し、兼務/専任と稼働期間を添える
- 社内周知——個人名・役職まで入れ、更新日を必ず記載する
まとめ
組織図の 3 大タイプは、指揮命令系統の本数で整理すると一気に見通しが良くなります。
- 階層型——指揮命令系統 1 本。会社の骨格を示す最も基本の型
- マトリクス型——縦+横の 2 本。機能と事業の二重所属を表現
- プロジェクト型——PM に権限集中。目的達成後に解散する一時チーム
どの型でも、PowerPoint での仕上げは「同階層を揃える・線を統一する・色を 2〜3 色に絞る・更新日を入れる」が崩さない基本です。まずは自社の体制を 1 つの型に当てはめて描いてみてください。図解の引き出し全体は PPT 図解パターン 30 選 で広げられます。
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