ロジックツリーは「問題を枝分かれで分解する図」と説明されがちですが、実務でつまずく人の大半は描き方ではなく どの用途で使うかを決めずに描き始めている ことが原因です。結論から言えば、ロジックツリーの成否は「目的に合った型を選べるか」でほぼ決まります。 要素を漏れなく洗い出したいのか、原因を突き止めたいのか、打ち手を考えたいのか——目的が違えば分解の問いも枝の中身もまったく変わります。本記事では、ロジックツリーの 3 大用途(What・Why・How)の違いと使い分けを早見表で整理し、MECE に分解するコツ、PowerPoint で崩れず仕上げる手順、提案書での見せ方までを現役コンサル視点で解説します。

ロジックツリー 3 大用途 早見表

まず全体像です。「いま何をしたいのか」を軸に逆引きで型を選んでください。

用途別名立てる問いゴール
要素分解What ツリー「何で構成されているか?」全体像を網羅して把握する
原因追究Why ツリー「なぜ起きているか?」根本原因を突き止める
施策展開How ツリー「どう解決するか?」打ち手を具体的行動まで落とす

3 つの違いを一言でいえば、What ツリーは「分ける」、Why ツリーは「掘る」、How ツリーは「広げる」 ための道具です。問題解決の現場では、まず What で構造を捉え、Why で原因を特定し、How で打ち手を出す——という順に 3 つを連続して使うことも少なくありません。以下、1 つずつ作り方とともに見ていきます。

1. 要素分解(What ツリー)

ある対象を「何で構成されているか」で分解し、全体像を漏れなく把握するための型です。たとえば「売上」を「客数 × 客単価」に、さらに客数を「新規 × リピート」に分けていきます。複雑な対象を構成要素に切り分けることで、どこに着目すべきかの当たりをつけられる のが最大の価値です。

            [売上]
        ┌─────┴─────┐
      [客数]      [客単価]
     ┌──┴──┐     ┌──┴──┐
  [新規][既存] [単価][点数]

適用シーン

  • 売上・コスト・市場規模など「数字の構造」を把握したいとき
  • 議論の前提として「全体はこれで尽きている」と共有したいとき

PPT での作り方

  • 左に大項目、右へ行くほど具体へ——情報は必ず左から右へ流す
  • 同じ階層の枝は 高さ・幅・間隔を完全に揃える(整列機能で一括)

2. 原因追究(Why ツリー)

問題に対して「なぜ?」を繰り返し、根本原因へたどり着くための型です。トヨタ生産方式の「なぜを 5 回」に通じる考え方で、表面的な事象ではなく 真の原因(真因)を特定する ことを狙います。

   [解約率が高い]
   ┌────┴────┐
 [価格不満]  [使い勝手]
  ┌─┴─┐     ┌─┴─┐
[割高][競合] [複雑][サポ不足]

適用シーン

  • 「不具合・離脱・コスト増などの問題が、なぜ起きているか」を分析したいとき
  • 思いつきの対処ではなく、原因に効く打ち手を考えたいとき

3. 施策展開(How ツリー)

特定した課題に対して「どうやって解決するか」を具体的な行動まで落とし込む型です。打ち手を広く洗い出してから、効果と実現性で優先順位をつけていきます。

  [解約率を下げる]
   ┌────┴────┐
 [価格改定]  [UX改善]
  ┌─┴─┐     ┌─┴─┐
[割引][プラン][導線][チュートリアル]

適用シーン

  • 課題が特定できた後、「打ち手の選択肢」を網羅したいとき
  • 提案書で「やるべきこと」を構造的に示したいとき

Why ツリーとの決定的な違い

Why ツリーと How ツリーは見た目がそっくりですが、枝に入る言葉が「原因(名詞・状態)」か「行動(動詞・施策)」か で区別します。「価格が割高」は原因、「割引を導入する」は行動です。1 枚のツリーに原因と行動が混在していたら、それは型が崩れているサインです。

すべての土台は MECE

3 つの型に共通する最重要原則が MECE(モレなく・ダブりなく) です。MECE は「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、マッキンゼーが提唱した考え方とされています。枝の分け方がダブっていれば議論が堂々巡りになり、モレていれば肝心の原因や打ち手を見落とします。

  • 同じ階層は同じ切り口で割る(例:年代で割るなら全枝を年代で統一)
  • 足し算で元に戻るか確認する(子の枝を合計すると親に一致するのが理想)
  • MECE に割りきれないときは無理に埋めず「その他」を置いて先へ進む

切り口の引き出しは MECE で資料の漏れダブりを無くす|実例で学ぶ正しい切り口 5 選 に詳しくまとめています。

PowerPoint できれいに作る手順

ロジックツリーは PowerPoint の SmartArt(横方向階層リスト) か、テキストボックス+直角コネクタ で作るのが実務的です。

  1. 「挿入」タブ →「SmartArt」→「階層構造」→「横方向階層」を選ぶ
  2. 「テキストウィンドウ」から階層を入力(Tab でレベルを下げる)
  3. 枝が増えて窮屈になったら SmartArt を解除し、図形として微調整する
  4. 「SmartArt のデザイン」→「色の変更」で配色を 2〜3 色に整える

提案書・社内資料での見せ方

ロジックツリーを資料に載せるときは、全枝を律儀に描かず主張に合わせて間引きます。

  • 役員向け提案書——大項目+強調したい 1 系統のみ。全展開は付録に回す
  • 分析報告——Why ツリーで真因に至る 1 本のパスを太く見せる
  • 施策提案——How ツリーの右端(具体的行動)を優先順位順に並べる

まとめ

ロジックツリーの 3 大用途は、立てる問いで整理すると一気に見通しが良くなります。

  • What ツリー(要素分解)——「何で構成されているか」で全体を網羅する
  • Why ツリー(原因追究)——「なぜ起きているか」で根本原因を掘る
  • How ツリー(施策展開)——「どう解決するか」で打ち手を具体化する

どの型でも、土台は MECE(モレなくダブりなく)。そして PowerPoint での仕上げは「左から右へ・同階層を揃える・直角コネクタ・1 枚 1 型・色は 2〜3 色」が崩さない基本です。まずは身近な課題を 1 つ選び、What で分けてみるところから始めてください。図解の引き出し全体は PPT 図解パターン 30 選 で広げられます。

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参考文献